給料の前借りや前払いはできる?
メリットやデメリット、給料日まで乗り切る方法を紹介

公開日:2024年4月24日

給料の前借りや前払いはできる?メリットやデメリット、給料日まで乗り切る方法を紹介

一時的に必要なお金をどうしても工面できず、給料を前借りしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
既に労働した分の給料を給料日前に受け取ることを「前払い」、これから働く予定の給料を受け取ることを「前借り」といいます。
この記事では、給料の前借り・前払いの方法とメリット・デメリットを解説します。前借り・前払いができないときに給料日まで乗り切る方法も紹介するので、困っている方はぜひ参考にしてください。

給料の前借りとは給料日前に給料を受け取ること

給料の前借りとは、給料日が来るまでに給料を受け取ることです。正しくは、「前借り」と「前払い」の2つに区分されます。
最初に、両者の違い、前借り・前払いができるのかどうかを解説します。

前借りと前払いの違い

給料の前借りができるのかを理解するには、「前借り」と「前払い」の違いを知っておく必要があります。

項目 前借り 前払い
意味 これから働く予定の分の給料をもらうこと 既に働いた分の給料を給料日前にもらうこと
労働基準法第25条の適用 なし あり

既に労働した分の給料を給料日までに受け取ることを「前払い」と呼ぶのに対し、「前借り」はまだ働いていない分の給料を受け取ることです。
前払いには「非常時払い」(労働基準法第25条)が適用されますが、前借りは対象ではありません。詳しくは、次の章で解説します。

既に働いた分の給料を給料日前にもらうことは可能

労働基準法第25条では、従業員が非常時の費用に充てるために給料の前払いを請求した場合、事業主は給料日前でも給料を支払わなくてはならないと定められています。ただし、非常時払いの対象となるのは、既に働いた分の給料に限られます。
労働基準法第25条にしたがって前払いを受けられるのは、以下の「非常時」に該当する場合です。

  • 結婚
  • 出産
  • 疾病
  • 災害
  • 死亡
  • やむを得ない事由による1週間以上の帰郷

「疾病」「災害」には、業務上の疾病や負傷、業務外の私傷病、洪水などの自然災害などが含まれます。
上記に該当する場合は、お勤め先に請求すれば既に働いた分の給料を給料日がくるまでに受け取ることが可能です。
一方、非常時以外の前払いの取扱いは、企業によって異なります。福利厚生の一環として、既に働いた分の給料を給料日前に受け取れる「前給制度(前払い制度)」を導入している企業もあるので、お勤め先に確認しましょう。

これから働く予定の分の給料は給料日前に受け取れない

給料は労働の対価であるため、まだ働いていない分の給料を受け取ることは基本的にできません。
労働基準法第25条で定められている非常時の前払いは、既に働いた分の給料にのみ適用されます。したがって、これから働く予定の分の給料は対象外です。
まだ働いていない分の給料を支払うと、従業員にその分の労働をしてもらわなければならず、労働基準法第5条で禁止されている「強制労働」に該当する可能性があります。
企業によっては、前借りの交渉をできる可能性もありますが、従業員からの依頼に応じる義務はありません。

給与ファクタリングとの違いと注意点

給料日前に給料を受け取れる仕組みには「給与ファクタリング」がありますが、給与の買取りをうたった違法な業者の利用に、金融庁が警鐘を鳴らしています。
給与ファクタリングとは、給与債権を業者に売却し、給料日前に手数料が差し引かれた金額を受け取れるサービスです。
給与ファクタリング事業をおこなう際は、貸金業登録を受けなくてはいけません。貸金業登録を受けず、給与ファクタリングと称して事業をおこなう違法な業者を利用すると、高額な手数料を請求される、違法な取立ての被害に遭うなどの危険性があります。
お金が必要な場面でも、こうした違法な業者は絶対に利用しないようにしてください。

前借り・前払いの制度を利用できる人

労働基準法第25条で定められている非常時の前払いは、雇用形態にかかわらずすべての労働者が対象です。
したがって、非常時には、原則として正社員だけでなく契約社員やパート・アルバイトの方も前払いを請求できます。
一方、福利厚生で提供されている前払いの制度対象者は、企業によって異なります。

給料の前借りや前払いのメリット・デメリット

給料の前借り・前払いを利用できれば、給料日までにお金を工面できます。ただし、前借り・前払いには注意点もあります。
前借り・前払いのメリット・デメリットを確認しましょう。

メリット

給料の前借り・前払いの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 審査がない場合が多い
  • 利息がつかない場合が多い
  • ご返済方法を相談して決めることができる

前払いは、既に働いた分の給料を給料日前に受け取る仕組みであるため、一般的に審査は不要です。お借入れにあたらないため、利息(お金を借りたときに貸主に支払うお金)もかかりません。
ただし、福利厚生として提供されている「前給制度(前払い制度)」を利用する場合は、システム手数料や振込み手数料がかかることがあります。手数料は会社側が負担してくれるケースもあるので、利用前に確認しましょう。
また、ご返済方法を相談して決められるのもメリットです。会社側が従業員に貸したお金と給料を勝手に相殺することは、労働基準法第17条で禁止されています。したがって、給料から同意なく差し引かれることはありません。
ただし、会社と従業員間で合意がある場合は、給料から貸したお金を差し引くことができます。

デメリット

前借り・前払いには、以下のようなデメリットがあります。

  • だらしない人だと思われる可能性がある
  • 入金までに時間がかかる場合がある
  • 計画的に利用しなければ生活が苦しくなる

お勤め先から給料を前借り・前払いすると、お金にルーズな印象を与えてしまう可能性があります。相談する際は、お金に困っている状況を正直に話すことが重要です。
ただし、前借り・前払いをしたことが原因で人事評価を下げるような、業績や能力に関係のない不当な人事評価は法律で禁止されています。
また、前払いしてもらう際、入金までに時間がかかる場合があるため、急ぎの方は注意しましょう。労働基準法では非常時の前払いが認められていますが、「○日以内に支払う」といった具体的なルールはありません。そのため、会社によっては前払いしてもらうまでに日数がかかる可能性があります。
前払いを利用すれば、一時的にはお金を工面できますが、給料日前に給料を受け取っているにすぎません。安易に利用してしまうと、その後の生活が苦しくなる可能性があるため、しっかり計画を立てましょう。

給料の前借りや前払いをする方法

給料の前借りや前払いをする方法

給料の前借り・前払いを利用する具体的な方法について、会社に前払い制度がある場合とそうでない場合に分けて解説します。

前借りや前払いの福利厚生制度がある場合

会社に前給制度(前払い制度)が整っている場合は、入社時に案内がある、または社内報などに対象者や手続き方法が掲載されている場合があります。
前給制度(前払い制度)の一般的な利用の流れは、以下のとおりです。

  1. 会社に契約書を提出して加入手続きをする
  2. 従業員が前給のサイトで申込みをする
  3. 入金される
  4. 給料日に差額分が入金される

前給制度(前払い制度)を利用するには、一般的にお勤め先での加入手続きが必要です。加入後は、スマートフォンやパソコンで申込みできるため、手間がなく利用できます。

会社に直談判が必要な場合

会社に前払いの制度が整っていない場合、まずは直属の上司に給料を前借りしたい旨を相談します。許可が下りたら、上司や担当部署に必要な書類や手続き方法を確認しましょう。
所定の様式がない場合も、トラブルを避けるために申請書や借用書を作成することが重要です。
また、制度が整っていない場合、給料の前払いを受けるまでの日数が長くなる可能性があります。お金が必要だと分かった時点で、早めに相談しましょう。

給料の前借りや前払いができないときの対処法

非常時を除き、既に働いた分の給料を前払いしてもらえるかどうかは会社によって異なります。そこで、給料の前借りや前払いが利用できないときの対処法を解説します。

  • 支払先にご返済日の交渉をする
  • 従業員貸付制度を利用する
  • クレジットカードを利用する
  • 質屋に質入れをする
  • カードローンを利用する

支払先にご返済日の交渉をする

給料の前借りや前払いができないときは、支払先に支払方法の変更やご返済日の延長ができないかを相談しましょう。
たとえば、多くのクレジットカード会社では、支払いに関する相談ができるコールセンターなどを設けています。支払えない事情を説明すれば、ご返済日の変更や分割払いなどの対応をとってくれる可能性があります。
相談する際は、なぜ支払えなくなったのか、現在どのような状態なのか、いつ支払えるのかなどを正直に話しましょう。

従業員貸付制度を利用する

お勤め先に従業員貸付制度が導入されていれば、必要な資金をお借入れできる可能性があります。
従業員貸付制度とは、企業が福利厚生の一環として従業員に貸付をおこなう制度です。金利は企業によって異なりますが、営利目的の制度ではないため、金融機関が提供するカードローンやフリーローンなどの無担保ローンと比べて低い可能性があります。
ただし、自動車購入費用・住宅購入費用・教育資金など、使途が限定されている場合があるため、制度内容をよく確認する必要があります。
なお、従業員貸付制度を利用する際は、一般的に社内審査が実施されます。

クレジットカードを利用する

一時的にお金が足りないとき、クレジットカード(ショッピング)を利用すれば手元にお金がなくても支払えます。
クレジットカードの支払方法には、一括払いのほかにボーナス一括払いや分割払い、リボ払いなどがあります。一般的に、2回払いまでは分割手数料がかかりません。
また、現金が必要なときは、クレジットカードのキャッシングを利用すればお借入れができます。現在利用中のクレジットカードにキャッシング枠が設定されている場合は、即日のお借入れが可能です。
まずはお持ちのクレジットカードにキャッシング枠が設定されているかを確認しましょう。キャッシング枠が付与されていない場合は、申込んで審査に通過する必要があります。審査には数日かかる場合があるため、急ぎの方は注意してください。
また、キャッシングの利用には所定の利息が発生するため、計画的に利用する必要があります。
お金が必要な状況に応じて、ショッピング機能とキャッシング機能を使い分けましょう。

質屋に質入れをする

ジュエリーやブランドバッグ、腕時計などの品物を質入れすれば、お金を工面できます。
質入れとは、品物を担保として質屋に預入れ、現金を工面する仕組みです。質屋に品物を持参すると、その場で査定してくれ、比較的短時間で現金を受け取れます。
品物を担保にするため、金融機関でお借入れをするときのような年齢や収入、返済能力などの審査は実施されません。
お借入れ可能な金額は、査定額の一定範囲内です。返済期日までに元金と質料(利息+保管料)を返済できなければ、質流れとなり預けた品物が戻ってこないため、計画的に利用しましょう。
また、質屋の金利は一般的にカードローンよりも高く設定されています。利息はほとんどの事業者において1ヵ月単位で計算されるため、質入れした翌日に返済しても1ヵ月分の賃料(利息+保管料)を支払わなくてはなりません。注意点も踏まえ、慎重に検討しましょう。

カードローンを利用する

前借り・前払いが利用できないときや会社に知られたくないときは、カードローンの利用もご検討ください。
カードローンとは、使い道が限定されない担保・保証人不要の個人ローンです。ご利用限度額の範囲で繰り返しお借入れでき、幅広い資金に充てられます。
また、お申込みからお借入れまで来店不要で手続きできる場合が多く、カードローンによっては最短即日融資も可能です。
従業員貸付制度や使途が限定される目的ローンなどと比べて、金利は高めです。ただし、一定期間の利息がかからない「無利息サービス」を提供している金融機関もあります。
レイクは、Webからのお申込みで最短25分で融資が可能なカードローンです。21時(日曜日は18時)までのご契約手続き完了(審査・必要書類の確認含む)で当日中にお振込みが可能です。ただし、一部金融機関および、メンテナンス時間などを除きます。
また、ご契約がはじめての方向けに選べる無利息サービスもご提供しています。一時的にお金が必要な方は、ぜひレイクをご検討ください。

カードローンを利用する際の注意点

カードローンは、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。このようなカードローンの特性上、ご利用の際には次の3点にご注意ください。

  • 返済計画を立てる
  • 金利や無利息期間などの契約内容を確認する
  • 余裕がある場合は多めの金額を返済する

以下で詳しく解説します。

返済計画を立てる

お金を借りると返済が始まります。借りる前に無理のない返済計画を立てておくことが重要です。毎月無理なくご返済できる金額はどのくらいなのか、いつまでに完済するのか計画を立ててから、カードローンにお申込みください。
また、カードローンはほかのローンとは異なり、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。追加でお借入れすると毎月のご返済額やご返済期間が変わることもあるため、その都度、返済計画を立て直すことが大切です。
カードローン会社の公式サイトには、返済シミュレーション機能があります。
レイクの場合、「ご返済シミュレーション」でご返済額やご返済回数をシミュレーションできます。ご希望契約額の入力と無利息期間を選択すれば、毎月のご返済額とご返済回数が試算できます。
毎月のご返済額からお借入れ可能額を調べることもできます。ぜひご活用ください。

  • このシミュレーションでの試算結果は参考値です。実際のご返済内容とは異なる場合があるので、あくまでもめやすとしてご確認ください。

金利や無利息期間などの契約内容を確認する

カードローンをご利用の際は、必ず金利やご利用限度額などのご契約内容をご確認ください。また、無利息サービスをご利用の場合は、いつまで無利息期間が適用されるのかもご確認ください。
レイクでは、はじめてご契約するお客さま限定で、ご都合にあわせていずれかの無利息サービスをお選びいただけます。

  • 60日間無利息(Web申込み限定)
  • 30日間無利息
  • 5万円まで180日間無利息

ご都合にあわせて無利息期間を選択いただけますので、ご自身に適用される無利息期間を確認し、ぜひ有効活用してください。
ご自身の借り方によって、どの無利息期間を選べば利息のご負担が軽くなるか調べられる「無利息診断」もございます。
なお、レイクの無利息期間開始日は「ご契約日の翌日から」となります。「お借入れ日の翌日から」ではありませんのでお気をつけください。
無利息期間中にもご返済日があります。会員ページでご返済日をご確認いただき、ご返済に遅れないようご注意ください。

余裕がある場合は多めの金額を返済する

家計に余裕がある場合は、多めの金額をご返済いただくことで利息が少なくなり、返済総額も減ります。カードローンの利息は、以下の計算式で算出します。

利息=お借入れ額×貸付利率(年率)÷365日(うるう年は366日)×お借入れ日数

上記の式から分かるとおり金利の高さだけでなく、お借入れ額が多いほど利息額が増え、ご返済総額も多くなります。
利息の負担を減らすためにも、余裕がある場合は約定返済額よりも多めの金額をご返済ください。

まとめ

労働基準法第25条では、非常時に従業員から請求があった場合、既に働いた分の給料を「前払い」しなければならないと定めています。企業によっては、福利厚生のひとつとして「前給制度(前払い制度)」を利用できる場合もあります。
一方、給料は労働の対価であるため、これから働く分の給料の「前借り」は基本的にできません。また、前払いができる場合も、その後の生活が苦しくならないよう安易な利用は避けましょう。
前借り・前払いが利用できないときは、カードローンの利用もご検討ください。

監修者:松崎 観月

監修者:

松崎 観月

プロフィール:

大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当し、資産運用の相談・保険販売などを経験する。退社後、CFP認定を取得。現在は金融に関する記事の執筆・監修を行う。これまでに執筆した記事は500本を超える。

資格情報:

CFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記検定2級