収入証明書とは?
種類や発行方法、必要な場面、提出時の注意点を解説
公開日:2024年10月7日
ローンのお申込みなどで収入証明書類の提出が必要ですが、収入証明書類が具体的に何をさすのか、またどのように取得するのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
収入証明書類とは、個人の収入を証明する書類の総称です。源泉徴収票や給与明細書、確定申告書などがあり、ローンを利用する際や賃貸物件を借りる際など、主にお金に関わる手続きの際に提出を求められます。
この記事では、収入証明書類の概要や取得方法、必要な場面について解説します。
収入証明書とは
収入証明書類とは、個人の収入を証明する書類の総称です。「収入証明書類」という名称の書類があるわけではありません。提出を求める先によって名称が異なり、「所得証明書類」や「年収確認書類」と呼ばれることもあります。
収入証明書類の役割は、ご自身の正確な収入を示すことです。具体的には、ローンにお申込みする際や賃貸物件を借りる際など、客観的に信頼性の高い書類で収入を確認する場面で提出が求められます。
収入証明書の種類
収入証明書類として利用できるのは、主に以下のような書類です。いずれも、直近のものを提出する必要があります。
収入証明書類の種類 | 概要 |
---|---|
源泉徴収票 | 1年間の給与や源泉徴収税額が記載されている書類 |
給与明細書 | 給与の支給額や控除額が記載されている書類 |
確定申告書 | 1年間の所得税額を計算し、税務署に申告するための書類 |
住民税決定通知書・納税通知書 | 住民税額やその明細を通知するための書類 |
納税証明書 | 納税額や滞納がないことを証明する書類 |
所得証明書・課税証明書 | 1年間の収入・所得や課税額を証明する書類 |
年金証書 | 年金を受ける権利があることを証明する書類 |
年金通知書 | 年金額を知らせるための書類 |
出典:「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」
(国税庁)
出典:「<給与明細の見方>」
(東京都主税局)
出典:「所得税等の確定申告とは」
(国税庁)
出典:「納税証明書
(一般/滞納のない証明書)」
(舞鶴市)
出典:「所得に関する
証明書の内容について」
(知立市)
出典:「年金証書をなくしたとき」
(企業年金連合会)
出典:「年金振込通知書」
(日本年金機構)を加工して作成
収入証明書の提出が必要な場面
収入証明書類の提出を求められるのは、主に以下の場面です。
- 賃貸物件を契約するとき
- 健康保険の扶養に入るとき
- 保育園に入園の申込みをするとき
- 住宅や自動車を購入したとき
- クレジットカードやカードローンに申込むとき
賃貸物件を契約するとき
賃貸物件の入居審査では、一般的に源泉徴収票や納税証明書などの提出を求められます。家賃の支払い能力があるかどうかを確かめるためには、正確な収入を確認する必要があるからです。
転職したばかりで収入証明書類を提出できない場合など、状況によってはほかの書類を提出すれば認められる場合もあるため、事前に確認しましょう。
健康保険の扶養に入るとき
配偶者の健康保険の扶養に入るとき、収入証明書類の提出を求められる場合があります。
健康保険の扶養に入れるのは、「年収130万円未満(※)かつ被保険者(扶養者)の1/2未満」の場合です。収入証明書類をもとに、被扶養者の収入要件を満たしているかどうか確認されます。
- 60歳以上または障害者の場合は180万円未満
一般的に、給与明細書や所得証明書などを提出しますが、健康保険組合や健康保険協会などによって異なるため配偶者のお勤め先に確認しましょう。
保育園に入園の申込みをするとき
保育園の入園申込みの際、収入証明書類の提出を求められる場合があります。
認可施設(認定保育園や幼稚園など)に0~2歳時までの子どもが入園する際の保育料は、保護者の住民税額に応じて決まる仕組みです。そのため、課税証明書や納税通知書、住民税決定通知書などの住民税額が分かる収入証明書類の提出が必要です。
「前年の1月1日時点の住所」と「入園を希望する保育園」の自治体が同じ場合は、自治体が住民税額を把握できるため、原則として収入証明書類を提出する必要はありません。
一方、引っ越しで前年の1月1日時点と自治体が変わっている場合や、住民税が未申告の場合は提出を求められる可能性があります。
住宅や自動車を購入したとき
住宅ローンや自動車ローンを組むとき、収入証明書類が必要な場合があります。申込者がきちんとご返済できる人物かを確かめるためには、正確な収入を把握する必要があるからです。
各種ローンの審査では、収入証明書類や申込内容などから、安定した収入があるか、お借入れ希望額が収入に見合っているかどうかなどがチェックされます。
なお、お借入れ額が少ない場合、収入証明書類の提出が不要なケースもあります。スムーズに審査を進めるためにもお申込みの前に確認しましょう。
クレジットカードやカードローンに申込むとき
キャッシング枠が付いたクレジットカードやカードローンにお申込みする際、返済能力を確かめるために収入証明書類の提出を求められる場合があります。
返済能力を調査する際、一定の場合は収入証明書類を徴求しなければならないと法律(貸金業法)で決まっているからです。具体的には、以下のケースに該当する場合に提出を求められます。
- お借入れ希望額が50万円を超える場合
- お借入れ希望額がほかの貸金業者からのお借入れとの合計で100万円を超える場合
したがって、50万円以下(かつ他社との合計で100万円以下)のお借入れを希望する場合、原則として収入証明書類の提出は不要です。
ただし、上記を満たさなくても、前回の提出から一定期間経過している場合や金融機関が必要だと判断した場合は、最新の収入証明書類を提出するよう求められることがあります。
なお、銀行系カードローンでは収入証明書類の提出は義務付けられていませんが、多くの場合、貸金業者と同等の基準で提出が必要となります。
収入証明書の取得方法
収入証明書類の取得方法や取得可能なタイミングは、書類の種類によって異なります。取得するのに手続きが必要な収入証明書類もあるため、早めに確認しておきましょう。
源泉徴収票
源泉徴収票は、毎年お勤め先から交付される書類です。1年間に支払われた給与額や所得控除の額、源泉徴収税額などが記載されています。
お勤め先によって異なりますが、年末調整後の12月~1月ごろに交付されるのが一般的です。年末調整した年の翌年1月31日までに交付することが法律で義務付けられているため、遅くとも1月中には交付されます。また、年の途中で退職した場合は退職日以後1ヵ月以内に交付される決まりです。
源泉徴収票の交付は会社の義務であるため、紛失した場合はお勤め先に依頼すれば再発行してもらえます。
なお、源泉徴収票の交付を受けるのは給与所得者(会社員や公務員)です。個人事業主には交付されないため、収入証明書類として利用することはできません。
給与明細書
給与明細書は、給与支払時にお勤め先から交付される書類です。給与の支給額や控除額(税金や社会保険料)、差引支給額(手取り)などが記載されています。
給与明細書を収入証明書類として利用する場合、一般的に「直近数ヵ月分」の提出が必要です。また、賞与を受け取っている場合は、直近の賞与明細書もあわせて提出を求められる可能性があります。
確定申告書
確定申告書は、1年間の所得税額を計算し、2月~3月にかけて税務署に申告するための書類です。主に、収入額、所得額、控除額、源泉徴収税額、所得税などが記載されています。
収入証明書類として利用する際は、税務署に提出した確定申告書の控えを用意しましょう。
なお、確定申告書の控えを収入証明書類として利用する場合、税務署の収受日付印(e-Tax(電子申告)の場合は受付日時)の記載が必要です。
郵送で提出する場合は、確定申告書の控えと切手を貼付した返信用封筒を同封すれば、収受日付印を捺印したものを返送してくれます。ただし、日数がかかる点に注意してください。
住民税決定通知書・納税通知書
住民税決定通知書・納税通知書は、住民税の額を通知するための書類です。
個人で税金を納める方(個人事業主など)や年金から天引きされる方には自治体から、給与からの天引きで納める方(会社員など)にはお勤め先を通じて交付されます。交付時期のめやすは以下のとおりです。
- 住民税決定通知書:6月ごろ
- 納税通知書:4~7月ごろ
一般的に再発行はできないため、大切に保管しましょう。
所得証明書・課税証明書
所得(課税)証明書は、1年間の収入・所得や課税額を証明する書類です。一般的に、収入・所得のみを記載したものを「所得証明書」、控除額や課税額を加えたものを「課税証明書」と呼びますが、自治体によって異なる場合があります。
所得(課税)証明書を取得する場合は、自治体の窓口や郵送での手続きが必要です。また、マイナンバーカード(個人番号カード)があればコンビニエンスストアで取得できる自治体もあります。
手数料や取得方法は自治体によって異なるので、お住まいの自治体のホームページなどで確認しましょう。
収入証明書を提出する際の注意点
提出できる収入証明書類の種類は、お勤めの状況によっても異なります。個人事業主や働いていない方、副業をしている方は以下の注意点を確認しておきましょう。
- 個人事業主は確定申告書などを提出する
- 収入のない学生や専業主婦は収入証明書を提出できない
- 失業中の方は前職で交付された収入証明書を提出することはできない
- 副業をしている方はすべての収入が分かる収入証明書を提出する
個人事業主は確定申告書などを提出する
源泉徴収票や給与明細書などが交付されない個人事業主やフリーランスは、以下のような書類を提出するのが一般的です。
- 確定申告書
- 納税通知書
- 所得証明書
なお、ローンやキャッシングを利用する際、お借入れの金額が50万円以下(かつ他社との合計が100万円以下)なら原則として収入証明書類の提出は不要です。ただし、個人事業主の場合は、お借入れの金額にかかわらず収入証明書類の提出を求められる可能性があります。
収入のない学生や専業主婦は収入証明書を提出できない
ローンやキャッシングでは、返済能力を証明する目的で収入証明書類を提出するため、収入のない学生や専業主婦(主夫)は提出できません。
ただし、アルバイト・パートをしている学生や主婦(主夫)は、お勤め先から交付される源泉徴収票や給与明細書を収入証明書類として利用できます。
なお、健康保険の扶養申請は、所得証明書(学生は在学証明書)などを提出すれば手続きが可能です。
失業中の方は前職で交付された収入証明書を提出することはできない
ローンやキャッシングにお申込みする際、前職のお勤め先から交付された源泉徴収票や給与明細書を収入証明書類として提出することはできません。
基本的に、お借入れをするには安定した定期収入が必要です。したがって、失業中の方はカードローンやキャッシングにはお申込みできません。
ただし、保育園の入園申込みや健康保険の扶養申請は、失業中であることを証明する書類などを提出すれば手続きできます。
副業をしている方はすべての収入が分かる収入証明書を提出する
副業やダブルワークをしている場合は、すべての収入が分かるよう収入証明書類を用意する必要があります。
たとえば、副業として事業所得を得ている会社員で、お勤め先での源泉徴収後に確定申告をおこなう場合、源泉徴収票や給与明細書では本業分の収入しか確認できないため、確定申告書や所得証明書などを提出します。
カードローンを利用する際の注意点
カードローンは、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。このようなカードローンの特性上、ご利用の際には次の3点にご注意ください。
- 返済計画を立てる
- 金利や無利息期間などの契約内容を確認する
- 余裕がある場合は多めの金額を返済する
以下で詳しく解説します。
返済計画を立てる
お金を借りると返済が始まります。借りる前に無理のない返済計画を立てておくことが重要です。毎月無理なくご返済できる金額はどのくらいなのか、いつまでに完済するのか計画を立ててから、カードローンにお申込みください。
また、カードローンはほかのローンとは異なり、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。追加でお借入れすると毎月のご返済額やご返済期間が変わることもあるため、その都度、返済計画を立て直すことが大切です。
カードローン会社の公式サイトには、返済シミュレーション機能があります。
レイクの場合、「ご返済シミュレーション」でご返済額やご返済回数をシミュレーションしていただけます。ご希望契約額の入力と無利息期間を選択すれば、毎月のご返済額とご返済回数が試算できます。
毎月のご返済額からご利用限度額を調べることもできます。ぜひご活用ください。
- このシミュレーションでの試算結果は参考値です。実際のご返済内容とは異なる場合があるので、あくまでもめやすとしてご確認ください。
カードローンのご返済方法や気をつけるべきポイントについては、下記記事で詳しく解説しています。
金利や無利息期間などの契約内容を確認する
カードローンをご利用の際は、必ず金利やご利用限度額などのご契約内容をご確認ください。また、無利息サービスをご利用の場合は、いつまで無利息期間が適用されるのかもご確認ください。
レイクでは、はじめてご契約するお客さま限定で、ご都合にあわせていずれかの無利息サービスをお選びいただけます。
- 60日間無利息(Web申込み限定)
- 30日間無利息
- 5万円まで180日間無利息
ご都合にあわせて無利息期間を選択いただけますので、ご自身に適用される無利息期間を確認し、ぜひ有効活用してください。
ご自身の借り方によって、どの無利息期間を選べば利息のご負担が軽くなるか調べられる「無利息診断」もございます。また、「1秒診断」では、簡単な項目を入力するだけで、お借入れが可能かどうかを事前に診断することも可能です。
なお、レイクの無利息期間開始日は「ご契約日の翌日から」となります。「お借入れ日の翌日から」ではありませんのでお気をつけください。
無利息期間中にもご返済日があります。会員ページでご返済日をご確認いただき、ご返済に遅れないようご注意ください。
カードローンの金利・利用限度額については下記記事でも詳しく解説しています。
金利の仕組みや計算方法についても分かりやすい内容になっておりますので、ぜひ参考にしてください。
余裕がある場合は多めの金額を返済する
家計に余裕がある場合は、多めの金額をご返済いただくことで利息が少なくなり、返済総額も減ります。カードローンの利息は、以下の計算式で算出します。
利息=お借入れ額×貸付利率(年率)÷365日(うるう年は366日)×お借入れ日数
上記の式から分かるとおり金利の高さだけでなく、お借入れ額が多いほど利息額が増え、ご返済総額も多くなります。
利息の負担を減らすためにも、余裕がある場合は約定返済額よりも多めの金額をご返済ください。
まとめ
収入証明書類は、自身の収入を証明する書類の総称をさす言葉です。会社員ならお勤め先から交付される源泉徴収票や給与明細書、個人事業主なら確定申告書などが収入証明書類として利用できます。
収入証明書類の提出が必要なのは、主に賃貸物件を借りる際や住宅ローンを組む際、クレジットカードやカードローンにお申込みする際などです。手続き先によって提出できる書類が異なるため、事前に確認のうえ余裕をもって用意しましょう。
監修者:
松崎 観月
プロフィール:
大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当し、資産運用の相談・保険販売などを経験する。退社後、CFP認定を取得。現在は金融に関する記事の執筆・監修をおこなう。これまでに執筆した記事は500本を超える。
資格情報:
CFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記検定2級