消費者金融の利用がクレジットカード審査に影響する3つの理由や取るべき対策
更新日:2024年11月14日
公開日:2022年7月26日
消費者金融を利用している場合、クレジットカードの審査に影響を及ぼす可能性があります。
ただし、消費者金融の利用が、必ずしもクレジットカードの審査にマイナスの影響を及ぼすわけではありません。
審査で不利になりえるケースとしては、以下の3つが挙げられます。
- 消費者金融でのお借入れ額が多い
- 消費者金融のご返済で滞納・遅延したことがある
- 信用情報にマイナスな情報が登録されている
また、クレジットカードの審査に落ちてしまう場合も、必ずしも消費者金融の利用が原因であるとは限りません。
本記事では、クレジットカード審査時にチェックされるポイントと、消費者金融の利用やそれ以外のクレジットカード審査で不利になるケースについて解説します。
審査に通らない場合にやるべきことも紹介しているので、クレジットカードの審査に不安がある方や、審査に落ちてしまった方はぜひ参考にしてください。
クレジットカード審査時にチェックされるポイント
冒頭でお伝えした通り、消費者金融の利用状況によっては、クレジットカードの審査に通りにくくなることがあります。
消費者金融やクレジットカードの審査基準は公表されていない場合が多いため、詳細を知ることはできません。しかし、返済能力と信用情報を中心として審査がおこなわれると予想されるので、この2つのポイントをチェックしておくことで備えることができます。
- 返済能力の確認
- 信用情報の照会
それぞれ具体的には何を指すのか、また、どのような状況であれば審査に不利となるのか、詳しく見ていきましょう。
返済能力の確認
返済能力とは、申込者が借入金を期日どおりにご返済する能力のことであり、ご返済に充てる資金をどれだけ生み出せる能力があるかを指します。一般的に、申込時に申告する年収や勤務先などの情報から判断されます。
また、他社からのお借入れも返済能力を判断する材料となることがあります。審査基準はカード会社によって異なるため、いくら借りていると審査に悪影響を及ぼすのかなどは分かりません。
しかし、他社からのお借入れ額や件数が多いときは、新たに借りることで毎月のご返済額がさらに増え、ご返済が困難になる可能性があると判断されるかもしれません。
また、総量規制という貸金業法に基づくルールにより、年収の3分の1を超えるお借入れはできません。総量規制の詳細については後述します。
消費者金融で一度でもお借入れをするとどのような影響があるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
信用情報の照会
信用情報とは、ローンやクレジットカードのお申込みやご契約、ご返済、お支払いに関する情報のことです。個人の信用情報は信用情報機関と呼ばれる第三者機関に記録されています。
信用情報機関には、
の3つがあります。クレジットカード会社や消費者金融などが加盟している信用情報機関はそれぞれ異なりますが、申込者の信用情報を審査時に照会します。
信用情報機関では、現在のローン利用状況やお借入れ件数だけでなく、過去のご返済状況も登録されているため、情報を隠すことはできません。
もし、現在ローンのご返済を延滞している場合や、過去にクレジットカードの支払いが遅れたことがあった場合は、それらの情報が信用情報機関に記録され、審査でその点が影響を及ぼす可能性があります。
信用情報にどのような内容が記録されるのか、問題があると判断されるケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。
消費者金融の利用がクレジットカード審査で不利になるケース
消費者金融を利用していることが、必ずしもクレジットカードの審査において不利になるわけではありません。しかし、次のようなケースに該当する場合には、消費者金融の利用がクレジットカード審査に不利に働くことがあります。
- 消費者金融でのお借入れ額が多い
- 消費者金融のご返済で滞納・遅延したことがある
- 信用情報にマイナスな情報が登録されている
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
消費者金融でのお借入れ額が多い
消費者金融でのお借入れには、貸金業法の「総量規制」というルールが適用されます。総量規制とは、お借入れ額が年収の3分の1までに制限される決まりです。
総量規制は、消費者金融からのお借入れだけでなく、クレジットカードのキャッシング枠にも適用されます。そのため、すでに消費者金融で年収の3分の1の金額を借りている場合は、クレジットカードにキャッシング枠をつけられない可能性があります。
尚、ショッピング利用であっても、分割払いにおいては割賦販売法が適用されるため、消費者金融のお借入れ状況次第では、ショッピング枠も条件付きでの発行となるケースもあります。
クレジットカードのお申込みの前に、消費者金融からのお借入れ額やご利用限度額を確認してみましょう。
総量規制の詳細や規制対象外のローンについて、以下の記事で詳しく解説しています。
消費者金融とはどのような業者が当てはまるのかが分からない場合は、以下の記事をご覧ください。
また、以下の記事では利用限度額の決め方や、増額方法について詳しく解説しています。
消費者金融のご返済で滞納・遅延したことがある
現在、あるいは過去に消費者金融のご返済で滞納・遅延をしたことがある場合は、信用情報に記録されている可能性があります。クレジットカードのお申込みの際には、必ず信用情報機関に信用情報が照会されるので、審査通過が難しくなるかもしれません。
なお、信用情報機関に記録される情報は、滞納や遅延などに限りません。ご返済期日までに既定の金額をご返済したという情報も記録されます。毎月きっちりとご返済していれば、クリーンな状態を維持できます。
滞納や遅延がなく、期日までにご返済されている信用情報が登録されていると、クレジットカードの審査においても、「しっかりと計画的にご返済できる人」という判断になる可能性があります。将来のローンやクレジットカードの審査に備えるためにも、ご返済は期日を守るようにしましょう。
消費者金融でお借入れをする際には、金利などの条件を把握し、返済計画をたてることが重要です。消費者金融の金利については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、カードローンの返済ができない場合のリスクや対処法については下記記事で詳しく解説しています。
信用情報にマイナスな情報が登録されている
信用情報に異動情報(一般的に事故情報と呼ばれている)が登録されているときは、クレジットカード審査の通過は難しくなることがあります。
異動情報(事故情報)には、延滞や保証履行、破産申立などの情報が登録されており、いずれも現在は解決していたとしても、過去でも異動参考情報(事故情報)があると審査に通過しづらくなるため注意が必要です。
消費者金融でお借入れがある状態でクレジットカードを作るポイント
消費者金融でお借入れがあっても、クレジットカードの審査に通りやすくするポイントは以下の2つです。
- 他社のお借入れ額を減らす
- 利用していないクレジットカードを解約する
これらのポイントについて、詳しく解説していきます。
他社のお借入れ額を減らす
ひとつ目のポイントは、他社のお借入れ額を減らすことです。
クレジットカードの審査では、企業や職種別の年収データベースや、家計収支情報から得た平均的な家計支出で返済能力を確認します。また、申告情報や信用情報、社内のデータベースなどを用いてシミュレーションをおこない、その結果をもとに判断されます。
他社のお借入れが多い場合、返済能力を超えるとみなされて審査が通らない可能性があります。消費者金融でのお借入れ以外に、多額のクレジットカード利用がある場合も同じです。
返済能力があると判断してもらうためには、他社のお借入れやクレジットカードの利用額をできるだけ減らすことが大切です。そうすることで、クレジットカードの審査にも通りやすくなるでしょう。
利用していないクレジットカードを解約する
ふたつ目のポイントは、利用していないクレジットカードを解約することです。
何枚ものクレジットカードを保有するということは、それだけ多額の支払いができてしまうということです。
利用していなかったとしても、全体の利用可能枠が増えることで、返済能力を超えるとみなされる可能性があります。
そのため、新たにクレジットカードをお申込みする際には、利用していないカードを解約しておきましょう。
消費者金融の利用以外のクレジットカード審査で不利になるケース
クレジットカードの審査に不利になるのは、他社でお借入れがある場合だけではありません。お借入れの有無に関係なく、クレジットカードの審査が通りにくくなるケースには、以下のようなものがあります。
- 短期間に複数枚のクレジットカードのお申込みをしている
- 収入が安定していない
- お申込み時に虚偽の申告をする
これらのケースについて、詳しく見てみましょう。
短期間に複数枚のクレジットカードのお申込みをしている
短期間の間に、複数枚のクレジットカードにお申込みをしている場合、審査に通りにくくなる可能性があります。
お申込みの情報は信用情報として記録されるため、いくつものクレジットカードをお申込みしたことは審査で見られます。
なぜお申込みの情報を見られると審査に通りにくくなるのかというと、お申込みをした人の支払い能力を超える契約を禁止する「過剰与信防止義務」があるからです。
過剰与信防止義務とは、日々の生活に困窮したり財産を手放したりせずに、支払い能力を超えない範囲で安心してクレジットカードを利用できるようにするためにクレジット会社が負う義務です。
クレジット会社は消費者の支払い能力を調査し、ショッピング枠の限度額を決定したり、審査を通さないという判断をしたりします。
多重申込みは、複数のカードを利用することで返済能力を超えると判断される可能性があるため、お申込みの情報が保管される6ヵ月間はほかのクレジットカードへのお申込みは避けましょう。
収入が安定していない
クレジットカードの審査では、安定した収入があるかどうかを見られます。安定した収入がないと、返済能力がないとみなされ、審査が通りにくくなる可能性があります。
安定した収入とは、継続的に収入を得られているかです。そのため、パートやアルバイトであっても継続的に毎月収入を得られているのであれば、審査に通る可能性は十分にあります。
安定した収入がないと判断されるケースとしては、起業したての経営者や個人事業主、勤めている会社に就職したばかりの場合などです。
就職や転職したてで審査に通らなかった場合は、6ヵ月以上勤務してから再度お申込みをしてみましょう。
お申込み時に虚偽の申告をする
クレジットカードのお申込み時に、年収・勤務先・お借入れ状況などの申告をおこないます。その際に虚偽の申告をすると、信用情報機関や過去の顧客データなどから発覚する可能性があります。
虚偽申告とみなされると、審査に通りにくくなります。また、虚偽申告で審査に通ったとしても、後から虚偽であることが発覚し、規約違反として会員資格を停止される恐れもあります。
お申込み時に虚偽の内容や間違った情報で申告しないようにしましょう。
クレジットカードの審査が通らない時にやるべきこと
クレジットカード審査が通らないときは、なぜ通過しなかったのか調べましょう。原因をある程度特定して排除することで、次回クレジットカードに申込むときは審査に通りやすくなるかもしれません。
信用情報を確認してみる
審査に通らなかった場合、クレジットカード会社に問合せても、原因は教えてもらえません。信用情報が原因ではないかと考えられる場合は、ご自身の信用情報を確認してみるという方法があります。
まず、申込んだクレジットカード会社で加盟している信用情報機関を調べましょう。クレジットカード会社では、Webで加盟信用情報機関の情報を公開していることが一般的です。
次にクレジットカード会社が加盟している信用情報機関に、情報開示を請求します。情報の開示は郵送などでも対応していますが、スマートフォンやPCでも可能です。信用情報に登録されている内容が原因になっているかどうかを確認しておきましょう。
尚、信用情報の開示請求には手数料がかかります。
信用情報を開示する手順は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
異動情報がある場合は時間を空ける
前述した通り、異動情報とは信用情報機関に登録されるネガティブな情報のことです。たとえば、消費者金融や信販会社への支払いを数ヵ月滞納した場合などは、異動情報として登録されます。
もし異動情報があると判明した場合は、再申込みまでに期間を空けることが大切です。返済遅延や延滞、債務整理などの登録は永久ではなく、一定期間が経つと消されるため、記録抹消後に再度申込むことで審査に通過しやすくなることがあります。
なお、信用情報の登録期間は、情報の内容や信用情報機関によって異なるので注意しましょう。信用情報機関への登録情報と登録期間は、各信用情報機関のホームページで確認いただけます。
キャッシング枠のお申込みをしない
他社で年収の3分の1に近いお借入れをしている場合、キャッシング枠を付けずにクレジットカードをお申込みすることで、審査が通りやすくなる可能性があります。
クレジットカードのキャッシング枠は総量規制の対象になります。他社でお借入れがある状態だと、お借入れしている金額によっては総量規制に引っかかってしまいます。対して、ショッピング枠は総量規制が適用されないため、キャッシング枠を付帯しなければ他社でお借入れがあっても、審査に落ちる可能性を減らせます。
1社申込んだら他社に申込むまでに6ヵ月空ける
クレジットカードの審査に落ちた場合、その情報は信用情報機関の履歴に6ヵ月間保有されます。
そのため、クレジットカードの審査に通らなければ、その後すぐに他社へお申込みをしても、審査に落ちたことが分かってしまう可能性があります。
再申込みをする場合は、前回のお申込みから6ヵ月以上は待つとよいでしょう。
まとめ
消費者金融の利用情報は、クレジットカードの審査と無関係ではありません。
消費者金融で借りている金額やカードローンの利用限度額が、クレジットカードの利用枠や審査に影響を及ぼしたり、消費者金融での返済遅延や異動情報(事故情報)が、クレジットカードの審査落ちにつながったりします。
消費者金融の利用以外でも、以下のようなケースに当てはまる場合は審査に通らない可能性があります。
- 短期間に複数枚のクレジットカードのお申込みをしている
- 収入が安定していない
- お申込み時に虚偽の申告をする
審査に通らない場合には、以下の対処法が考えられます。
- 信用情報を確認してみる
- 異動情報がある場合は時間を空ける
- キャッシング枠のお申込みをしない
今後のクレジットカード審査に備えるためにも、消費者金融はご返済プランを立てて計画的に利用するようにしましょう。
監修者:
内山 貴博
プロフィール:
1978年生まれ。証券会社の本社部門に勤務後、2006年に独立。金融リテラシーを高めることがFPの役割だと感じ、FP相談やセミナーなどの活動を行っている。また動画チャンネル「FPお金レッスン」では投資初心者向け、FP学習者向けのコンテンツを提供中。主な著書に「駆け出しFPの事件簿」(きんざい)、「お金の使い方テク」(朝日新聞出版)がある。
資格情報:
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士