消費者金融の利用は
クレジットカードの審査に影響する?
チェックされるポイントなど紹介
公開日:2022年7月26日
クレジットカードの審査時に、消費者金融の利用がクレジットカードの審査に影響を及ぼす可能性があります。
とはいえ、消費者金融を利用していることが、必ずしもクレジットカードの審査にマイナスの影響を及ぼすわけではありません。
消費者金融の利用とクレジットカードの審査にどのような関係があるか解説するので、ぜひ参考にしてください。
クレジットカード審査時にチェックされるポイント
必ずとはいえませんが、消費者金融の利用状況によっては、クレジットカードの審査に通りにくくなることがあります。
消費者金融やクレジットカードの審査基準は公表されていない場合が多いため、詳細を知ることはできません。しかし、返済能力と信用情報を中心として審査が行われると予想されるので、この2つのポイントをチェックしておくことで備えることができます。
- 返済能力の確認
- 信用情報の照会
それぞれ具体的には何を指すのか、また、どのような状況であれば審査に不利となるのか、詳しく見ていきましょう。
返済能力の確認
返済能力とは、申込者が借入金を期日通りに返済する能力のことであり、返済に充てる資金をどれだけ生み出せる能力があるかを指します。一般的に、申込み時に申告する年収や勤務先などの情報から判断されています。
また、他社からの借入れも返済能力を判断する材料となることがあります。審査基準はカード会社によって異なるため、いくら借りていると審査に悪影響を及ぼすのかなどはわかりません。
しかし、他社からの借入れ額や借入れ件数が多いときは、新たに借りることで毎月の返済額がさらに増え、返済が困難になる可能性があると判断されるかもしれません。また、総量規制というルールで、年収の3分の1を超える借入れはできません。総量規制については後述します。
信用情報の照会
信用情報とは、ローンやクレジットカードの申込みや契約、返済、支払いに関する情報のことです。個人の信用情報は信用情報機関と呼ばれる第三者機関に記録されています。
信用情報機関には、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つがあり、クレジットカード会社や消費者金融などが加盟している信用情報機関はそれぞれ異なりますが、申込み者の信用情報を審査時に照会します。
信用情報機関では、現在のローン利用状況や借入れ件数だけでなく、過去の返済状況も登録されているため、情報を隠すことはできません。もし、現在ローン返済を延滞している場合や、過去にクレジットカードの支払いが遅れたことがあった場合は、それらの情報が信用情報機関に記録され、審査でその点が影響を及ぼす可能性があります。
消費者金融利用者がクレジットカード審査で不利になるケース
消費者金融を利用していることが、必ずしもクレジットカードの審査において不利になるわけではありません。しかし、次のようなケースに該当する場合には、消費者金融の利用がクレジットカード審査に不利に働くことがあります。
- 消費者金融での借入れ額が多い
- 消費者金融の返済で滞納・遅延したことがある
- 信用情報にマイナスな情報が登録されている
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
消費者金融での借入れ額が多い
消費者金融での借入れには、貸金業法の「総量規制」というルールが適用されます。総量規制とは、借入れ額が年収の3分の1までに制限される決まりです。
総量規制は、消費者金融からの借入れだけでなく、クレジットカードのキャッシング枠にも適用されます。そのため、すでに消費者金融で年収の3分の1の金額を借りている場合などは、クレジットカードにキャッシング枠をつけられない可能性があります。
尚、ショッピング利用であっても分割払いにおいては割賦販売法が適用されるため、消費者金融の借り入れ状況次第では、ショッピング枠も条件付きでの発行となる可能性があります。
クレジットカードの申込み前に、消費者金融からの借入れ額や利用限度額を確認してみましょう。すでに年収の3分の1の金額を借りている場合は、審査に通過するのが難しくなる可能性があります。
消費者金融の返済で滞納・遅延したことがある
現在、あるいは過去に消費者金融の返済で滞納・遅延をしたことがある場合は、信用情報に記録されている可能性があります。クレジットカードに申込むと必ず信用情報機関に信用情報が照会されるので、審査通過が難しくなるかもしれません。
なお、信用情報機関に記録される情報は、滞納や遅延などの好ましくないものだけではありません。返済期日までに既定の金額を正しく返済したという情報も記録されるので、毎月きっちりと返済していれば、クリーンな状態を維持することができます。
好ましい信用情報が登録されていると、クレジットカードの審査においても、「しっかりと計画的に返済ができる人」という判断になる可能性もあります。将来のローンやクレジットカードの審査に備えるためにも、返済や支払いは期日を守るようにしましょう。
信用情報にマイナスな情報が登録されている
信用情報に異動情報(一般的に事故情報と呼ばれている)が登録されているときは、クレジットカード審査の通過は難しくなることがあります。異動情報(事故情報)には、延滞や保証履行、破産申立などの情報が登録されており、いずれも現在は解決していたとしても、過去でも異動参考情報(事故情報)があると審査に通過しづらくなるため注意が必要です。
クレジットカードの審査が通らない時にやるべきこと
クレジットカード審査が通らないときは、なぜ通過しなかったのか調べておくほうが良いでしょう。原因をある程度特定して排除することで、次回クレジットカードに申込むときは審査に通りやすくなるかもしれません。
信用情報を確認してみる
クレジットカード審査に通らなかった場合、クレジットカード会社に問合せても、原因は教えてもらえません。信用情報が原因ではないかと考えられる場合は、ご自身の信用情報を確認してみるという方法があります。
まず、申込んだクレジットカード会社で加盟している信用情報機関を調べましょう。クレジットカード会社では、Webで加盟信用情報機関の情報を公開していることが一般的です。
次にクレジットカード会社が加盟している信用情報機関に、情報開示を請求します。情報の開示は郵送などでも対応していますが、スマートフォンやPCでも可能です。信用情報に登録されている内容が原因になっているかどうかを確認しておきましょう。
尚、信用情報の開示請求には手数料がかかります。
異動情報がある場合は時間を空ける
異動情報とは信用情報機関CICに登録されるネガティブな情報のことです。
もし異動情報があると判明した場合は、再申込みまでに期間を空けることが大切です。返済遅延や延滞、債務整理などの登録は永久ではなく、一定期間が経つと消されるため、記録抹消後に再度申込むことで審査に通過しやすくなることがあります。
なお、信用情報の登録期間は、情報の内容や信用情報機関によって異なるので注意しましょう。例えばCICの場合、契約の内容や支払い状況に関しては、契約期間中および契約終了後5年以内とされています。
まとめ
消費者金融の利用情報は、クレジットカードの審査と無関係ではありません。消費者金融で借りている金額やカードローンの利用限度額が、クレジットカードの利用枠や審査に影響を及ぼすこともあるので、事前に確認しておきましょう。
また、消費者金融での返済遅延や異動情報(事故情報)が、クレジットカードの審査落ちにつながる可能性もあります。今後のクレジットカード審査に備えるためにも、消費者金融は返済プランを立てて計画的に利用するようにしましょう。
監修者:
内山 貴博
プロフィール:
1978年生まれ。証券会社の本社部門に勤務後、2006年に独立。金融リテラシーを高めることがFPの役割だと感じ、FP相談やセミナーなどの活動を行っている。また動画チャンネル「FPお金レッスン」では投資初心者向け、FP学習者向けのコンテンツを提供中。主な著書に「駆け出しFPの事件簿」(きんざい)、「お金の使い方テク」(朝日新聞出版)がある。
資格情報:
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士