出産費用が払えない?
かかる費用の平均金額や利用できる制度をわかりやすく解説

公開日:2022年11月29日

更新日:2024年4月24日

出産費用が払えない?かかる費用の平均金額や利用できる制度をわかりやすく解説

出産費用や妊婦検診の費用には、原則保険が適用されないため、全額が自己負担となります。出産を終えて育児が始まってからも、ベビー用品やおむつ代など費用がかさむため、出産に対して経済的な不安がある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、出産費用の平均金額や内訳などを解説します。
出産費用や妊婦検診費用を補助してくれる公的な給付もあるので、「出産までに費用を用意できないのでは」と不安に感じている方はぜひ参考にしてください。
病院にかかるお金や生活費が足りないというケースは、下記記事でも対処法や家計の見直し方法を解説しています。

出産にかかる費用の平均金額

厚生労働省保険局の調査によると令和3年度の正常分娩(病院、診療所、助産所)で出産した際の出産費用は、平均53万8,263円でした。
正常な妊娠・分娩の出産費用には、原則保険が適用されないため、全額自己負担となります。
医療行為とみなされる帝王切開や吸引分娩などの場合は保険が適用されますが、入院日数が長くなれば、食事代や室料差額負担などにより費用の負担が増える傾向にあります。
ただし、出産時に受けられる出産育児一時金などの公的支援制度があるため、出産費用のすべてを負担しなければならないわけではありません。公的制度について、詳しくは後述します。

出産費用の内訳

約54万円かかる出産費用には、どういった費用が含まれているのでしょうか。以下の表は、正常分娩(病院、診療所、助産所)で出産した際の、出産費用の内訳です。

入院料 115,776円
室料差額 17,255円
分娩料 276,927円
新生児管理保育料 50,058円
検査・薬剤料 14,419円
処置・手当料 16,135円
産科医療補償制度 15,203円
その他 32,491円

また、公益社団法人国民健康保険中央会によると、出産時の平均入院日数は6日間でした。
費用はあくまでも平均であり、個室利用の有無や入院日数、分娩方法などにより異なるため一概には言えません。たとえば、入院が深夜や休日になると、深夜加算・休日加算などが加わり、入院料が高くなる傾向にあります。
また、出産費用だけでなく、妊婦検診などの費用がかかる点にも注意が必要です。安全なお産のためには、定期的な妊婦検診が欠かせませんが、妊婦検診には保険が適用されないため全額自己負担となります。
ただし、妊婦検診費用は、自治体による補助が受けられます。たとえば、奈良県奈良市では、最大14回まで・最大10万円分妊婦検診費用が補助されます。補助券は、母子健康手帳を受け取る際にあわせて交付されるのが一般的です。

出産の際に利用できる制度

出産の際に利用できる公的な制度を紹介します。出産費用の負担が大きく軽減できる制度なので、しっかり確認しておきましょう。

  • 出産育児一時金
  • 出産手当金
  • 高額療養費制度
  • 医療費控除

出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険の被保険者または被扶養者が産科医療補償制度に加入している医療機関などで出産した際に、1児につき一律50万円が支給される制度です。なお、産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は48.8万円が支払われます(※)。(2023年12月22日現在)
一時金が支給されるのは、妊娠4ヵ月以上の出産時です。健康保険に加入している人、その家族(被扶養者)が対象なので、会社員にかかわらずパートや専業主婦の方にも支給されます。また、退職後であっても、要件を満たす場合は支払われます。
直接支払制度に対応している医療機関なら、医療機関に直接一時金が支給されるため、高額な出産費用を立て替える必要がありません。50万円を超えた分のみを窓口で支払えば完了します。ただし、医療機関にあらかじめ利用の旨を伝える必要がある点に注意しましょう。

出産手当金

健康保険の被保険者が出産で会社を休み、その間給与の支払いを受けなかった場合は、出産手当金が支給されます。
原則として出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産翌日以後56日目までの範囲で、会社を休んだ期間が支給の対象です。出産が予定日より遅れた場合は、遅れた期間の分も支給されます。
出産手当金の1日あたりの支給金額は、以下の式で算出した金額です。

支給開始日以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

たとえば、標準報酬月額の平均額が28万円だった場合の支給額は、28万円÷30日×2/3=6,222円となります。
また、退職後も条件を満たせば引き続き受け取れるので、既に会社を退職した方も出産手当金の受給要件を確認してみましょう。

高額療養費制度

高額療養費制度は、1ヵ月間の医療費が高額になった場合に、自己負担限度額を超える分の払い戻しが受けられる制度です。自己負担の上限は、年齢や所得に応じて決まっています。
70歳未満の場合の自己負担限度額は以下のとおりです。

所得区分 自己負担限度額
標準報酬月額 83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
53~79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
28~50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
26万円以下 57,600円
低所得者(住民税非課税者など) 35,400円

正常分娩で出産した場合は、保険の適用外となるため、高額療養費の対象にはなりません。高額療養費の対象となるのは、保険が適用される帝王切開や吸引分娩などの場合です。
高額療養費制度の注意すべき点は、払い戻しを受けるまでに受診した月から少なくとも3ヵ月程度かかる点です。一時的ですが、払い戻しを受けるまで高額な費用を立て替えておかなくてはなりません。
ただし、医療費が高額になることがあらかじめわかっている場合は、限度額適用認定証を申請しておき医療機関で提示すれば、始めから自己負担上限額のみを支払うだけでいいため、一時的な立て替え払いが発生しません。
なお、オンライン資格確認を導入している医療機関では、申請をしていなくても限度額が適用されるため、立て替え払いをする必要がありません。

医療費控除

医療費控除は、税金を計算する際に所得から差し引ける所得控除の1つです。その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が世帯で10万円(※)を超える場合に、一定金額の所得控除が受けられます。

  • 総所得金額などが200万円未満の場合は、総所得金額などの5%

高額療養費制度による払い戻しや出産育児一時金などの支給を受けた場合、差し引いて10万円を超える場合が対象です。
妊娠・出産にかかわる費用においては以下のような費用が医療費控除の対象となります。

  • 妊婦検診・検査費用
  • 通院費用
  • 出産で入院する際のタクシー代 など

医療費を支払った場合は、必ず領収書を保管しておきましょう。また、通院費用など領収書のないものに関しては、きちんと家計簿などに記録をとっておく必要があります。なお、医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。

出産費用が足りないときに利用できる制度

「出産費用が足りないかもしれない」と不安な方向けに、出産費用を用意できない場合に利用できる制度を紹介します。

  • 出産費貸付制度
  • 入院助産制度

制度の内容を詳しくみていきましょう。

出産費貸付制度

出産費貸付制度とは、出産にかかる費用が必要な場合に、出産育児一時金が支給されるまでの間無利子でお借入れができる制度です。お借入れ額は、一般的に出産育児一時金の8~9割が限度となっています。
返済時は、出産育児一時金が直接返済金に充てられる仕組みです。返済した後に残った出産育児一時金は、別途支給されます。
主に以下の方が、出産費貸付制度の対象となります。

  • 出産予定日まで1ヵ月以内の被保険者・被扶養者
  • 妊娠4ヵ月以上の方で産院などに一時的な支払いが必要な被保険者・被扶養者

被保険者だけでなく、扶養されている方も対象です。加入している健康保険組合や共済組合によって条件などが異なるので、事前に確認しましょう。

入院助産制度

入院助産制度は、経済的な理由で入院して出産するのが難しい場合に、助産施設への入所や出産費用の助成が受けられる制度です。
生活保護世帯や住民税非課税世帯などが対象ですが、自治体により異なるため、利用したい場合はお住まいの自治体窓口に相談しましょう。制度を利用するためには、事前の申請が必要です。なお、一部、自己負担金が必要な場合もあります。
また、制度が利用できる医療機関は限られています。出産を考えている医療機関などが入院助産制度に対応しているかどうか、自治体のホームページなどで確認しましょう。

各自治体の育児支援もチェックしよう

各自治体の育児支援もチェックしよう

自治体によっては、独自の育児支援が受けられる場合があります。たとえば、千葉県旭市では、以下のような制度があります。

出産祝金:1年以上市内に住む人が、第2子以降を出産した場合に祝い金が支給される
乳幼児紙おむつ購入券:0・1歳児を養育している人に、月額3,000円分の紙おむつ購入券を支給

祝い金の金額は、第2子が10万円、第3子は20万円です。紙おむつ購入券は市内の指定取扱店で紙おむつを購入する際の代金の一部として利用でき、子育て世帯に手厚い制度となっています。
お住まいの自治体が独自の育児支援制度を設けていないか、ホームページなどで確認してみましょう。

退職して専業主婦になった方が利用できる制度

妊娠・出産を機に退職した女性は、失業給付(雇用保険の基本手当)の受給期間を延長できます。
失業給付を受けられるのは、原則として離職日の翌日から1年間です。しかし、妊娠や出産が理由ですぐに働けないときは、申請をすれば最長4年以内まで受給期間を延長できます。
受給期間の延長を申請できる期間は、妊娠や出産が理由で引き続き30日以上職に就けなくなった日の翌日から延長後の受給期間の最後の日までです。ただし、申請が遅くなれば失業給付の所定給付日数のすべてを受給できない可能性があるため、なるべく早めに申請しましょう。
申請先は、お住まいの住所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)です。申請にあたり、以下の書類が必要となります。

  • 受給期間延長申請書
  • 離職票(1,2)
  • 延長理由を証明する書類(母子健康手帳や医師の証明書)

シングルマザーなどひとり親が活用できる制度

ひとり親の方は、お住まいの自治体などによる公的支援制度が利用できる可能性があります。以下はひとり親世帯が利用できる公的支援制度の一例です。

公的支援制度 概要
ひとり親家族等医療費助成制度 ひとり親やその子どもが医療機関を受診したときの医療費の一部または全部を助成する制度
母子父子寡婦福祉資金貸付金 ひとり親家庭および寡婦の方に必要な資金を貸付する制度
児童扶養手当 ひとり親または父母の代わりに児童を養育している人に支給される手当
交通遺児激励金 交通事故によって保護者が死傷した児童に支給される激励金

ひとり親が利用できる制度は自治体によって異なります。詳しい内容は、お住まいの自治体のホームページや担当窓口で確認しましょう。

フリーランスや自営業の方が活用できる制度

フリーランスや自営業の方は、会社の健康保険や雇用保険に加入しないため、出産手当金や育児休業給付金を受けることができません。妊娠や出産で収入が減っても困らないよう、自ら備えておく必要があります。
フリーランスや自営業の方が活用できる制度・活用できない主な制度をまとめたので、参考にしてください。

活用できる制度
  • 妊婦健康診査の費用補助
  • 出産育児一時金
  • 高額療養費制度
  • 医療費控除
  • 児童手当
活用できない制度
  • 出産手当金
  • 出産時育児休業給付金
  • 育児休業給付金

公的支援制度だけでは出産関連費用を賄えない場合の対処法

妊娠・出産の際には、妊婦検診費用や出産費用に加えて、新生児を迎える準備などに何かとお金がかかります。
十分な貯蓄がない場合、公的支援制度だけでは出産関連費用を賄えないことも想定できます。出産関連費用が不足するときは、以下の方法も検討しましょう。

  • クレジットカード払いができる病院を選ぶ
  • カードローンの利用を検討する

クレジットカード払いができる病院を選ぶ

次回の給料日やボーナスで支払える目途が立っている場合は、クレジットカード払いができる病院を選ぶことで支払い時期を調整できます。あらかじめ病院のホームページなどで、対応している支払方法を確認しておきましょう。
また、クレジットカード会社によっては分割払いも可能です。ただし、一般的に3回以上の分割払いには分割払い手数料がかかるため、慎重に検討しましょう。

カードローンの利用を検討する

一時的に生活費が足りない場合は、カードローンのご利用もご検討ください。
カードローンは、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れでき、使い道も自由な個人ローンです。なかでも、消費者金融系のカードローンなら最短即日でお借入れできます。
レイクは、Webからのお申込みで21時(日曜日は18時)までに審査・必要書類の確認を含むご契約手続きが完了した場合、最短25分でお借入れが可能です。ただし一部金融機関および、メンテナンス時間などを除きます。
その日のうちにお借入れできる可能性があるため、急な出費にも対応できます。
また、はじめてご契約の方ならご都合にあわせて3つの無利息サービスから選んでご利用いただけます。なるべく利息を抑えたい方は、ぜひご利用ください。

カードローンの仕組みや利用の流れ、審査項目をより詳しく知りたい方は、下記記事も併せてご覧ください。

カードローンを利用する際の注意点

カードローンは、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。このようなカードローンの特性上、ご利用の際には次の3点にご注意ください。

  • 返済計画を立てる
  • 金利や無利息期間などの契約内容を確認する
  • 余裕がある場合は多めの金額を返済する

以下で詳しく解説します。

返済計画を立てる

お金を借りると返済が始まります。借りる前に無理のない返済計画を立てておくことが重要です。毎月無理なくご返済できる金額はどのくらいなのか、いつまでに完済するのか計画を立ててから、カードローンにお申込みください。
また、カードローンはほかのローンとは異なり、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。追加でお借入れすると毎月のご返済額やご返済期間が変わることもあるため、その都度、返済計画を立て直すことが大切です。
カードローン会社の公式サイトには、返済シミュレーション機能があります。
レイクの場合、「ご返済シミュレーション」でご返済額やご返済回数をシミュレーションできます。ご希望契約額の入力と無利息期間を選択すれば、毎月のご返済額とご返済回数が試算できます。
毎月のご返済額からお借入れ可能額を調べることもできます。ぜひご活用ください。

  • このシミュレーションでの試算結果は参考値です。実際のご返済内容とは異なる場合があるので、あくまでもめやすとしてご確認ください。

カードローンのご返済方法や返済期日に遅れてしまった場合に生じる影響について、下記記事でも解説していますので参考にしてください。

金利や無利息期間などの契約内容を確認する

カードローンをご利用の際は、必ず金利やご利用限度額などのご契約内容をご確認ください。また、無利息サービスをご利用の場合は、いつまで適用されるのか無利息期間もご確認ください。
レイクでは、はじめてご契約するお客さま限定で、ご都合にあわせていずれかの無利息サービスをお選びいただけます。

  • 60日間無利息(Web申込み限定)
  • 30日間無利息
  • 5万円まで180日間無利息

ご都合にあわせて無利息期間を選択いただけますので、ご自身に適用される無利息期間を確認し、ぜひ有効活用してください。
ご自身の借り方によって、どの無利息期間を選べば利息のご負担が軽くなるか調べられる「無利息診断」もございます。
なお、レイクの無利息期間開始日は「ご契約日の翌日から」となります。「お借入れ日の翌日から」ではありませんのでお気をつけください。
無利息期間中にもご返済日があります。会員ページでご返済日をご確認いただき、ご返済に遅れないようご注意ください。

カードローンの金利・利用限度額については下記記事でも詳しく解説しています。
金利の仕組みや計算方法についても分かりやすい内容になっておりますので、ぜひ参考にしてください。

余裕がある場合は多めの金額を返済する

家計に余裕がある場合は、多めの金額をご返済いただくことで利息が少なくなり、返済総額も減ります。カードローンの利息は、以下の計算式で算出します。

利息=お借入れ額×貸付利率(年率)÷365日(うるう年は366日)×お借入れ日数

上記の式から分かるとおり金利の高さだけでなく、お借入れ額が多いほど利息額が増え、ご返済総額も多くなります。
利息の負担を減らすためにも、余裕がある場合は約定返済額よりも多めの金額をご返済ください。

まとめ

出産には、54万円程度の費用がかかります。原則保険が適用されず自己負担となりますが、出産育児一時金などの公的な補助が受けられるため、自己負担を軽減できます。
ただし、妊娠中には妊婦検診費用、出産後にもさまざまな費用が発生するため、負担が少ないとは言えません。
まとまった出産費用を支払い、一時的に生活費が足りない場合は、カードローンのご利用もご検討ください。

監修者:松崎 観月

監修者:

松崎 観月

プロフィール:

大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当し、資産運用の相談・保険販売などを経験する。退社後、CFP認定を取得。現在は金融に関する記事の執筆・監修を行う。これまでに執筆した記事は500本を超える。

資格情報:

CFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記検定2級