総量規制は年収の3分の1を超える貸付を
禁止する仕組み!
対象外のローンや注意点を解説

公開日:2022年11月17日

更新日:2024年7月15日

総量規制は年収の3分の1を超える貸付を禁止する仕組み!対象外のローンや注意点を解説

総量規制は、貸金業者による貸付総額が借り手の年収の3分の1を超えてはならないルールのことです。貸金業者からのお借入れを検討しているものの、総量規制を超えそうで不安な方もいるのではないでしょうか。
この記事では、総量規制の概要と対象のローン、注意点などを解説します。
年収にかかわらずお借入れできる可能性がある総量規制対象外のローンも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

総量規制は過剰な貸付を防ぐ仕組み

総量規制とは、貸金業者に対して、利用者の年収の3分の1を超える貸付を禁止する規制です。過度なお借入れで利用者が多重債務に陥るのを防ぐことを目的とした、貸金業法上のルールです。
総量規制が適用されるのは1社からのお借入れに対してではありません。貸金業者からのお借入れを合計した額が、年収の3分の1を超えられないルールになっています。
たとえば、年収が300万円の場合、貸金業者からお借入れできる合計額は原則100万円までです。A社・B社・C社からお借入れする場合、それぞれ100万円ずつお借入れできるわけではなく、3社合計で100万円までお借入れできます。
なお、貸金業者とは、財務局または都道府県に登録をし、金銭の貸付をおこなっている業者のことです。具体的には、消費者金融やクレジットカード会社などが該当します。
ただし、クレジットカードで総量規制の対象となるのは、キャッシング枠の金額で、ショッピング枠の金額は総量規制の対象にはなりません。

総量規制対象のローン

総量規制の対象となるローンは、主に以下の2つです。

  • 消費者金融系カードローン
  • クレジットカードのキャッシング枠

消費者金融系カードローン

消費者金融系カードローンは、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れいただけるローンです。
消費者金融は貸金業者にあたるため、総量規制が適用されます。そのため、既に貸金業者からのお借入れ総額が年収の3分の1に達している場合、新たにお申込みをしても審査には通過できません。
また、カードローンでのお借入れ時には、審査によってご利用限度額が設定されます。ご利用限度額の審査や増額方法については、下記記事でも詳しく解説しています。

クレジットカードのキャッシング枠

クレジットカードのキャッシングとは、クレジットカードに付帯する機能のひとつです。「キャッシング枠」を設定すれば、ご利用限度額の範囲でお借入れできます。
クレジットカード会社が貸金業者として貸付をおこなうため、総量規制の対象となります。消費者金融系カードローンと同様に、ご利用限度額が総量規制の範囲を超える場合は、審査に通過できません。
なお、クレジットカードには、キャッシング枠のほかに商品などを後払いで購入できるショッピング枠があります。ショッピング枠には貸金業法が適用されないため、総量規制の対象にはなりませんが、別の規制が適用されます。
カードローンとクレジットカードのキャッシング枠の違い、それぞれの特徴について気になる方は下記記事もあわせてご覧ください

総量規制対象外のローン

総量規制対象外のローン

既に紹介したとおり、総量規制の対象となるのは貸金業者からのお借入れです。そのため、銀行や信用金庫などの貸金業者以外からのお借入れは、総量規制の対象にはなりません。また、総量規制には一部例外があり、貸金業者のお借入れでも総量規制の対象にならないものがあります。

以下で、総量規制の「例外貸付」「除外貸付」にあたるお借入れを解説します。

例外貸付

以下の貸付は、顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付として、「例外貸付」に分類されます。

  • 顧客に一方的に有利となる借換え
  • ご利用残高を段階的に減少させるための借換え
  • 緊急に必要と認められる医療費を支払うための資金の貸付
  • 社会通念上、緊急に必要な費用を支払うための資金※1の貸付
  • 配偶者と併せた年収3分の1以下の貸付(配偶者貸付)※2
  • 個人事業者に対する貸付(新たに事業を営む個人事業者も含む)※3
  • 銀行などの金融機関からの貸付を受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付※4
  • 10万円以下、3ヵ月以内の返済などの要件を満たす必要があります。
  • 配偶者の同意が必要です。
  • 事業・収支・返済計画により、返済能力を超えないと認められる場合に限ります。
  • 貸付がおこなわれることが確実であることが確認でき、かつ1ヵ月以内の返済である場合に限ります。

「顧客に一方的に有利となる借換え」「ご利用残高を段階的に減少させるための借換え」には、おまとめローンや借換え専用ローンが該当します。
また、緊急に必要な医療費を支払うためのお借入れや、配偶者貸付も例外貸付のひとつです。
配偶者貸付とは、配偶者の年収を合算し、その3分の1までお借入れができる制度です。専業主婦(夫)の場合、収入がないため基本的にお借入れはできません。
しかし、配偶者貸付を利用すれば合算年収の3分の1までお借入れできる可能性があります。ただし、配偶者の同意が必要です。
なお、例外貸付でお借入れした金額は、ご利用残高に算入されるため、その後のお借入れに影響します。ご利用残高が年収の3分の1を超えると、除外貸付・例外貸付を除き、新たなお借入れはできません。

除外貸付

総量規制になじまない貸付は、「除外貸付」として、年収の3分の1を超えるかどうかにかかわらずお借入れできます。除外貸付に分類されるのは、主に以下の貸付です。

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 高額療養費の貸付
  • 有価証券を担保とする貸付
  • 不動産を担保とする貸付※
  • 売却予定不動産の売却代金により返済される貸付
  • 個人顧客または担保提供者の居宅などの不動産は含まれません。

また、除外貸付でお借入れした金額は、ご利用残高に算入されないため、その後のお借入れにも影響がありません。

「お借入れ診断」機能でお借入れ可能額のめやすが分かる

カードローンなどを扱う貸金業者のホームページでは、「お借入れ診断」機能を提供しています。お借入れ診断とは、年収や他社からのお借入れ額などを入力することで、お借入れが可能か診断できる機能です。
レイクの「1秒診断」では、ご年齢・ご本人さま年収・他社お借入れ額を入力すれば、お借入れできる金額のめやすをご確認いただけます。ぜひご活用ください。

  • 診断結果はお借入れをご検討される場合のめやすです。実際のお申込みの審査結果とは異なる場合があります。

総量規制を超える金額を借りる手段

既に総量規制の上限までお借入れをしている方に向けて、使途が決まっている場合のお借入れ手段を紹介します。

  • 目的別ローン
  • 返済専用ローン

目的別ローン

使途が決まっている場合、目的別ローンを利用できる可能性があります。目的別ローンとは、特定の使途にのみ利用できるローンのことです。以下のようなサービスがあります。

  • 自動車(マイカー)ローン
  • 教育ローン
  • 住宅ローン
  • リフォームローン
  • ブライダルローン
  • デンタルローン
  • ペットローン

目的別ローンは、原則として使途が決まっていないカードローンやクレジットカードのキャッシングと比べて、金利が低い傾向があります。
銀行や信用金庫などが提供している目的別ローンは、貸金業者からのお借入れには該当しないため、総量規制は適用されません。
金融機関によっては、年収や勤続年数に制限が設けられている場合があるため、事前に申込条件をよく確認しましょう。
さまざまな目的別ローンの種類や特徴は下記記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

返済専用ローン

次回のご返済日までにお金を用意できない場合は、新たにお金を借りることで多重債務に陥り、生活が困難になる危険性があるため、慎重に行動する必要があります。
自力でご返済できる場合は、救済措置である「返済専用のローン」を検討し、計画的にご返済を進めましょう。返済専用ローンは、「おまとめローン」と呼ばれることもあります。
おまとめローンとは、複数社からのお借入れを1つにまとめるローンです。一般的に、カードローンは、ご利用限度額が高いほど金利が低く設定されています。そのため、おまとめローンでお借入れを1つにまとめれば、ご利用限度額が高くなり、金利が下がる可能性があります。
また、お借入れ先をまとめることでご返済日やご返済方法も1つになるため、管理しやすくなり計画的なご返済が可能です。
おまとめローンは、総量規制の例外貸付に該当するため、年収の3分の1を超えるお借入れが可能です。ただし、お借入れできる金額は審査によって決まるため、実際に年収の3分の1を超えるお借入れができるとは限りません。

おまとめローンを利用する際の注意点

おまとめローンを利用すれば、ご返済の総額を抑えられる場合があります。一方で、ご利用時には注意点もあります。

  • 追加のお借入れできない場合が多い
  • 必ずしも利息が減るわけではない
  • おまとめローンの対象に注意する

追加のお借入れできない場合が多い

おまとめローンは、複数社からのお借入れを1つにまとめ、完済することを目的としたローンです。そのため、おまとめローンでは基本的にカードローンのような追加のお借入れはできません。
お借入れを1つにまとめた後は、おまとめ先の1社にのみご返済していく仕組みです。

必ずしも利息が減るわけではない

おまとめローンの利用で金利が下がっても、利息の総額が減るとは限りません。
毎月のご返済額を減らすことでご返済が長期化すれば、結果的に利息の総額が増えるケースがあります。
毎月のご返済額を減らせば月々のご負担は軽減されますが、ご返済が長引くと利息の総額が大きくなるため、月々のご返済額を減らしすぎないことが大切です。
カードローン会社の公式サイトには、返済シミュレーション機能があります。
レイクの場合、「ご返済シミュレーション」でご返済金額や返済回数をシミュレーションしていただけます。ぜひご活用ください。

おまとめローンの対象に注意する

おまとめローンによって、おまとめの対象となるお借入れが異なります。
たとえば、現在消費者金融1社・銀行2社からのお借入れがある場合、貸金業者からのお借入れにしか使えないおまとめローンだと、銀行2社のお借入れをまとめることができません。
現在のお借入れが、おまとめローンでまとめられる対象に含まれているかどうかをあらかじめご確認ください。
また、まとめたいお借入れの種類によっては、お借入れ状況が分かる書類の提出が別途必要な場合があります。

総量規制以上の金額を借りたい場合に知っておきたいこと

総量規制対象外のローンを利用すれば、年収の3分の1を超えていてもお借入れできる可能性があります。ただし、総量規制以上のお借入れには注意点もあります。

  • 総量規制対象外でも返済能力を超えるお借入れはできない
  • 他社のお借入れ額はごまかせない
  • 過去に延滞や債務整理をしていると審査に通りにくい

総量規制対象外でも返済能力を超えるお借入れはできない

銀行のローンやビジネスローンなどは総量規制の対象外ですが、返済能力を超えるお借入れができるわけではありません。
金融機関では、融資の際には必ず審査をおこない、申込者の返済能力を調査します。これは、利用者が過剰なお借入れで返済困難に陥ることを防ぐ目的です。
総量規制の対象かどうかにかかわらず、返済能力を超える貸付はおこなえないため、既に年収の3分の1近くのお借入れがある方はご注意ください。

他社のお借入れ額はごまかせない

お申込みの際に他社からのお借入れ額をごまかすことはできません。
貸金業者からのお借入れ額は、信用情報機関に登録されています。貸金業者が審査の際に信用情報を照会し、申込者のお借入れ額を把握する仕組みです。
また、一定の条件を満たす場合は収入証明書類も提出する必要があるため、年収をごまかすこともできません。
審査に通過したいという理由で嘘のお借入れ額を申告するのは避けてください。虚偽の申告書を提出すると、審査に通過できなくなるだけでなく、罪に問われる可能性もあります。自分自身がご返済に苦しまないためにも、正確な金額を申告しましょう。

過去に延滞や債務整理をしていると審査に通りにくい

信用情報機関には、延滞や債務整理の履歴も一定期間登録されています。審査の際にこれらの履歴も照会されるため、一般的に信用情報に問題がある状態で審査に通過するのは難しいです。
信用情報機関に開示請求をすれば、登録されている内容を確認できます。Webや郵送などで気軽に手続きが可能です。
信用情報に延滞などの情報が登録されているか不安な方は、お借入れを申込む前に開示請求をおこなって確認してみましょう。
信用情報として登録される内容や、開示請求の方法については下記記事も参考にしてください。

カードローンを利用する際の注意点

カードローンは、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。このようなカードローンの特性上、ご利用の際には次の3点にご注意ください。

  • 返済計画を立てる
  • 金利や無利息期間などの契約内容を確認する
  • 余裕がある場合は多めの金額を返済する

以下で詳しく解説します。

返済計画を立てる

お金を借りるとご返済が始まります。借りる前に無理のない返済計画を立てておくことが重要です。毎月無理なくご返済できる金額はどのくらいなのか、いつまでに完済するのか計画を立ててから、カードローンにお申込みください。
また、カードローンはほかのローンとは異なり、ご利用限度額の範囲内で繰り返しお借入れが可能です。追加でお借入れすると毎月のご返済額やご返済期間が変わることもあるため、その都度、返済計画を立て直すことが大切です。
カードローン会社の公式サイトには、返済シミュレーション機能があります。
レイクの場合、「ご返済シミュレーション」でご返済額やご返済回数をシミュレーションしていただけます。ご希望契約額の入力と無利息期間を選択すれば、毎月のご返済額とご返済回数が試算できます。
毎月のご返済額からお借入れ可能額を調べることもできます。ぜひご活用ください。

  • このシミュレーションでの試算結果は参考値です。実際のご返済内容とは異なる場合があるので、あくまでもめやすとしてご確認ください。

カードローンのご返済方法や気をつけるべきポイントについては、下記記事で詳しく解説しています。

金利や無利息期間などの契約内容を確認する

カードローンをご利用の際は、必ず金利やご利用限度額などのご契約内容をご確認ください。また、無利息サービスをご利用の場合は、いつまで適用されるのか無利息期間もご確認ください。
レイクでは、はじめてご契約するお客さま限定で、ご都合にあわせていずれかの無利息サービスをお選びいただけます。

  • 60日間無利息(Web申込み限定)
  • 30日間無利息
  • 5万円まで180日間無利息

ご都合にあわせて無利息期間を選択いただけますので、ご自身に適用される無利息期間を確認し、ぜひ有効活用してください。
ご自身の借り方によって、どの無利息期間を選べば利息のご負担が軽くなるか調べられる「無利息診断」もございます。
なお、レイクの無利息期間開始日は「ご契約日の翌日から」となります。「お借入れ日の翌日から」ではありませんのでお気をつけください。
無利息期間中にもご返済日があります。会員ページでご返済日をご確認いただき、ご返済に遅れないようご注意ください。

余裕がある場合は多めの金額を返済する

家計に余裕がある場合は、多めの金額をご返済いただくことで利息が少なくなり、返済総額も減ります。カードローンの利息は、以下の計算式で算出します。

利息=お借入れ額×貸付利率(年率)÷365日(うるう年は366日)×お借入れ日数

上記の式から分かるとおり金利の高さだけでなく、お借入れ額が多いほど利息額が増え、ご返済総額も多くなります。
利息の負担を減らすためにも、余裕がある場合は約定返済額よりも多めの金額をご返済ください。

まとめ

総量規制は、年収の3分の1を超えるお借入れを原則として禁止する貸金業法上のルールです。貸金業者からのお借入れ合計額に対して適用されます。
貸金業者ではない銀行や信用金庫などのお借入れは、総量規制の対象外です。また、総量規制には「例外貸付」や「除外貸付」もあります。
複数のお借入れがあり合計が年収の3分の1を超えそうな場合は、総量規制の例外貸付にあたるおまとめローンの利用もご検討ください。

監修者:松崎 観月

監修者:

松崎 観月

プロフィール:

大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当し、資産運用の相談・保険販売などを経験する。退社後、CFP認定を取得。現在は金融に関する記事の執筆・監修を行う。これまでに執筆した記事は500本を超える。

資格情報:

CFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記検定2級